【控訴審】平城高校存続を求める裁判について


平城高校存続を求める裁判について

令和3年3月17日、大阪高裁において判決が出ました。

判決では平城高校の存続を求めた提訴は却下、奈良地裁で認められていた損害賠償も取消となりました。

これは、私達が求めていたものと大きく隔たる内容です。


私達のホームページにも掲載している通り、開示請求を行って公開された何千ページにも及ぶ公文書資料によると、教育長や県教委の事務方が、平城高校と生徒に対する不公平で著しく配慮に欠ける不当な閉校を、何年にもわたって密室的に画策していたことは明らかであり、その手法は極めて悪質です。

実際、奈良地裁の判決文(p15)には、それ以前には複数あった案の中から一案のみを選択し『教育長らは、平成28年2月24日、奈良県知事に対し、平城、西の京及び登美ケ丘3校を2校に編成し、平城高校の校地に奈良高校が移転するという案のみを提示した。


同案は、本件計画のうち、奈良県北部の普通科高校の再編計画と同じものであり、その後は、同案を前提として、適正化プロジェクト委員会等において、同案の詳細や具体的なスケジュールについて協議された(以上、争いなし)』と、再編発表の約2年4ヶ月も前に、計画が方向づけられていた事が認定されました。

さらに、地裁判決文の『(平城高校の廃止方針を事前に示さなかったことが国家賠償法上違法か)について』の項目(p32)では、『教育長は、平成29年12月時点でかかる情報を公表することが客観的に不可能ではなかったにもかかわらずその提供を怠り、上記中学3年生に対して高等学校の選択の際の情報を与えなかったものと認められる。そうすると、教育長には、公務員が通常尽くすべき職務上の注意義務を怠り、原告らの学校選択の際の十分な検討を妨げた違法があるものと認められる』と、ハッキリ教育長の違法性が示されました。

この他にも地裁判決では再編過程の密室性が様々に認定されました。


一方、今回の大阪高裁の判決文は72ページに及び、論点検証の末、行政側に大きな裁量権を認めて原告の訴えを退けていますが、その内容は到底納得できません。

特に高裁判決の奈良高校校舎の耐震化についての時系列や論点整理は問題です。

高裁判決文(p40)では、平成19年の奈良高校校舎のIs値調査で、複数の校舎が大規模地震で倒壊又は崩壊する危険性がある事が判明していたことに言及しています。

奈良高校校舎(本館、北館、格技場、屋内運動場)については、北館を除いて平成22年度までに補強工事の基本設計及び実施設計が完了し、平成26年度に格技場の耐震工事が完了し、平成27年度には屋内運動場の耐震工事に関する債務負担行為について議会の承認が得られたが、その頃始まっていた再編計画の方向性が決定した後に耐震化事業を進めることが合理的であるとの判断から、奈良高校の耐震工事の予算計上が見送られたことが認定されています。

しかし、高裁はこの耐震化について、複数の高校を並行しての深い検証を行っておらず、奈良高の耐震化中止を問題視せず、再編計画との関連性に深く言及していません。(わざと見抜けないフリ、気づかないフリをしているのかと勘ぐってしまいます。)

実際には再編計画を画策しつつ、平城も西の京も耐震工事が行われており、入手した公文書にも、奈良高を平城に移転するので耐震化を中止した事を示すものがあります。

奈良高を閉校後の平城に移転させる方向性は固まっていたのであり、そのため奈良高の耐震化が中止された事は明白です。


高校再編計画の結論が出てから工事を進めるのであれば、平城と西の京も工事をしなくてもよかったはずですが、御承知の通り、平城も西の京も数億円をかけて耐震工事が行われました。複数の高校の耐震工事と、事務局内部の再編計画の内部文書を時系列でよく見ると、奈良高の平城移転が密室的に決定され、進められていた事は誰がみても明らかなのです。

いずれにせよ、どれほど行政に裁量権があるにせよ、

存続を求めて何万人もの県民が署名活動に賛同しているにもかかわらず、多くの県民の声を無視する県教委の制度とはいったい何なのでしょうか。

わずか数人の、公募で選ばれたわけではない教育委員制度自体に大きな問題があるといえるのではないでしょうか。


高裁判決は大変残念な状況ですが、今後の活動については、現在のところ検討協議中です。


なお、改めて原告を支える活動・平城存続活動に物心両面で御協力をいただいている皆様に、深甚の謝意を表し、心より御礼申し上げます。

誠に有難うございます。

以上ご報告し、重ねて御礼申し上げます。


平城高校校友会幹事一同』

平城高校を守りたい

訴訟を行った勇気ある後輩たちを応援したく、署名・意見書・陳述書への呼びかけを行っています。

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