【判決報告会】事件名「高等学校廃止処分取消等請求事件」


3月26日に、事件名「高等学校廃止処分取消等請求事件」に対する3月24日に判決が出た内容の報告会が行われました。

以下に、弁護団より配布された書面を紹介します。


一部に誤記があったため、修正しました。申し訳ございません。(令和2年3月27日)



令和2年3月26日

判決報告会

原告弁護団

【事件番号】奈良地方裁判所 平成31年(行ウ)第11号

      高等学校廃止処分取消等請求事件(訴訟提起日:平成31年4月4日)

【当事者】原告:平城高校生徒、被告:奈良県


1. 訴訟の結果(骨子) ※判決言渡日:令和2年3月24日

(1) 平城高校廃止を定めた条例の取消しについて

結論 訴えを却下する。

理由 本件条例の制定によって原告の権利や法的利益に変動が生じない。

  • ∵原告には、3学年揃って高等学校生活を送ることを求める権利ないし法的利益が与えられていると認められない。
  • ∵休学・留学・原級留置によって在籍期間が伸長し平城高校に在籍できない結果となったとしても、それは当該処分の効果によるものであり、本件条例の制定の効果ではない。


(2) 損害賠償請求について

結論 奈良県は原告1名につき11万円(及び遅延損害金)を支払え。

理由

① 奈良県が平城高校を廃止したことが違法か →×

  • ∵本件条例は憲法及び法律の一義的文言に違反せず、また原告の権利は認められない。
  • ∵本件計画による統廃合が社会通念に照らし著しく合理性を欠くといえるような事情は認められない。

② 奈良県が令和2年度以降の募集停止をしたことが違法か →×

  • ∵(原告の1学年下の後輩が)3年生時に学籍異動となることによる事実上の不利益を考えると、当該後輩が卒業する際に廃校とする計画を立案したことは合理的な理由があると認められる。

③ 平城高校の廃止方針を事前に示さなかったことが違法か →〇(違法である)

  • ∵教育長は、遅くとも平成29年12月末までに、原告らを含む平城高校等の受験を検討する中学3年生に対し、学校が将来廃止され、3学年の生徒が揃わない可能性を伝えるべき職務上の注意義務があった。
  • ∵学校が将来廃止され、3学年の生徒が揃わない可能性があることの情報は、学校選択の際に、自己決定権の見地から十分に尊重されるべきである。


2. 判決に対する弁護団の評価

(1) 平城高校廃止を求めた条例の取消しについて

  • 裁判所が門前払い判決をして、本件条例の違法性について判断をしなかったことは遺憾であり、判断理由にも不服があります。

(2) 損害賠償請求について

  • 裁判所が、奈良県に損害賠償義務があることを認めた点は画期的であり評価できる内容です。

    しかし、判決では事前の情報提供がなかったことの違法性が認められたに過ぎず、平城高校の廃止判断の違法性、募集停止の判断の違法性については認めていません。その点では、不服が残る内容になっています。


また報告会前に行われた記者会見にて紹介された、原告・原告保護者からのコメントも紹介します。


原告の生徒より

これまでご支援いただいた皆様本当にありがとうございました。

今回の判決に悔しい思いもありますが「奈良県に違法行為があった」と認められた点については勇気を出して声をあげてよかったと思いました。

ただ、憧れて入学した平城高校がどうして廃校対象に選ばれたのか?という理由はまだわからないので、きちんと説明にきてほしいし、これからのことを生徒の気持ちになって考えてほしいです。


原告保護者より

たくさんの方のご支援のおかげで、ここまで闘い続けることができました。

行政相手で難しいといわれた訴訟を引き受けてくださった弁護団の先生方には心から感謝しています。

「廃校はもう決まったことだから裁判をしても無駄!」といわれた時もありましたが、諦めずに闘い続けることができたのは校友会を始めとする保護者、卒業生、地域の皆様、その他本当に多くの皆様からの励ましがあったからです。ありがとうございました。

この訴訟を通じて、娘が憧れて入学した平城高校は皆に愛されている高校だと改めて感じ、この伝統は残すべきだと強く思いました。

今回、県の違法行為があったと司法の場で認められたということは再編計画の見直しが必要だということです。

現役生のためにも、これからの奈良県の子どもたちのためにも再編計画の見直しを求めます。


原告保護者より

卒業生をはじめ、地域・奈良県内・県外から、多くの方々が平城高校生に心を寄せ、御支援をいただき、深く感謝申し上げます。

・なぜ平城高校が廃校対象になったか、計画策定が不透明なままなのが残念でなりません。

・奈良県内の中学生が再編計画の発表後、教育委員会からの情報が少なく、未確定の状況で進路選択をしなければなりませんでした。

この再編計画の進め方に問題がなかったのか疑問

子どもは、閉校が覆らなかったことに落胆しています。「やっぱり閉校なん?」とひとことでした。

まだ平城高校での生活は続いています。また、奈良県内の高校に通う生徒、これから高校を目指して勉強に励んでいる中学生がたくさんいます。

奈良県の子供たちの為に、これからもご協力いただけたら嬉しいです。


また判決文も預かったので、近く紹介したいと思います。


平城高校を守りたい

訴訟を行った勇気ある後輩たちを応援したく、署名・意見書・陳述書への呼びかけを行っています。

0コメント

  • 1000 / 1000