高裁決定に対する弁護団の意見
既に新聞等で、大阪高裁のでの決定に関してご覧になられた方も多いかと思います。
弁護団が作成した「高裁決定に対する弁護団の意見」をお預かりしたので原文のまま紹介させて下さい。
令和元年10月8日
弁護団活動への支援者各位
高裁決定に対する弁護団の意見
平城高校廃止に反対する弁護団
第1 はじめに
平城高校の生徒らが申立てをした平城高校を廃止する旨の条例(平成30年奈良県条例第12号)の効力を一時的に停止させる執行停止申立事件について、大阪高裁は、令和元年10月8日、即時抗告の申立てを棄却しました。弁護団としては、到底承服しがたい内容であることから、近日中に最高裁に対し特別抗告及び抗告許可の申立てを行う予定です。
第2 申立ての内容・経過,および大阪高裁の判断の内容
1 申立ての内容と奈良地裁における経過
平城高校を廃止する旨の条例は、平成30年10月5日に可決・制定されました。弁護団としては、この条例(廃校処分)を取り消すことを求める訴訟(本案訴訟)を提起すると共に、平成30年10月5日に同時に制定された高校再編計画が、平城高校について令和2年4月に入学すべき生徒の募集をしない内容としていたことから、弁護団は、本案訴訟に併せて条例の効力を一時的に停止させるため、奈良地裁に対し条例の効力停止(行政事件訴訟法25条2項)を、求めていました。この一時停止を求める申立てに対し、奈良地裁は、令和元年7日18日、廃止条例は効力の停止を求める対象には該当しないとして申立てを却下する決定をしました。
2 大阪高裁における主張の内容と大阪高裁の判断の内容
弁護団は、大阪高裁に対し、奈良地裁の決定に対する即時抗告を申し立てた上で、廃止条例は効力の停止を求める対象となるものであること、条例の効力が停止されなかった場合、平城高校の廃止を知らずに入学した生徒らには、次年度に新入生の募集がなく、新入生が入学しないことにより生徒会活動や学校行事等の特別活動に多大な支障が生ずるなど重大な損害が生ずることを主張し、効力停止のための必要な要件の主張及び十分な疎明をしてきたところですが、大阪高裁は弁護団の主張を適切に判断することなく、申立てを棄却する決定をしました。
奈良地裁の決定は、廃止条例の制定は効力の停止の対象とはならないことを理由としていましたが、大阪高裁はこの点に触れることなく、新入生が入学しなかったとしても、生徒らには重大な損害が生じることはなく、緊急性もないとして申立てを棄却しました。
しかし、この大阪高裁の決定の内容には大いに疑問があるところで、取り分け、大阪高裁が決定において「3年生になってからの1年間に3学年全ての生徒が揃った状態の高等学校で学校生活を送ることができないからといって、個々の生徒の人格的成長等に重大な支障が生ずるとまでは認めることができない」としたこと、また、その理由の一つとして「いわゆる進学校においては,3年生になると受験勉強にも多くの時間と労力を投ずる必要があることから」3年次の学生は特別活動(生徒会活動や学校行事)の中核的な担い手になることが少ない、などという趣旨を述べている点は、生徒らの学校生活の実情や学校生活への思いをまったく理解しないものであると言わざるを得ません。
第3 今後の予定について
弁護団としては、先に述べた通り、執行停止の申立てに関する大阪高裁の決定について、最高裁判所に特別抗告及び抗告許可の申立てを行い、条例の効力の一時停止を求めると共に、奈良地裁において係属中の取消訴訟及び国家賠償請求訴訟において、さらなる主張・立証を尽くした上で、廃止条例の不合理性を明らかにしたく考えています。
今後とも弁護団の訴訟活動につきご支援・ご協力を賜りますようお願いいたします。
以上
引き続き、ご支援のほどを頂けましたら幸いです。
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